台湾労務:え?!これって違反なの?どの会社でもありがちな5つの労基法違反

台湾労務NEWS

POINT残業時間管理、残業代計算、出勤記録管理などは注意する必要があります。

銀行で労基法違反があったニュースが先日ありましたが、その違反内容は実はどの会社でも見られるようなものです。ここを抑えておかないと労基法違反になりますので、是非ご参考ください。

全国金融業労働組合連合会(NFFITU)は、「労働法違反事業場(雇用主)照会システム」を用いて、金融業における労働基準法違反のサンプル分布を分析したところ2019年8月20日から2021年7月26日までの間に労働法違反による罰則の資料が208件あったようです。

208件は内訳は主に下記のような違反内容でした。

  • 労働組合の同意や労使会議での同意を得ずに残業を実施 
  • 賃金を割り増しせずに残業代を計算
  • 法律で定められた時間数を超える残業
  • 労働者の出勤記録が不正確に記録
  • 賃金の全額を労働者に直接支払わない

以上自由時報より一部翻訳

LinkBizではさらにそれぞれの違反についてもう少し掘り下げていきたいと思います。

労働組合の同意や労使会議での同意を得ずに残業を実施 

 

台湾では労使会議を行い双方の同意なしには残業をすることができません。
労使会議していませんという会社は多いかと思いますが、残業はあるという会社は多いと思います。

労使会議を行うためには、選挙によって労働者の代表を選出する必要があります。
選ばれた代表者情報を労働部に登録する必要があります。
労働部はこの登録がされているかどうかを調べて、労使会議の有無を確認することができるので、
まだ登録されていない企業は登録することをお薦めします。
 

賃金を割り増しせずに残業代を計算

 

台湾では残業の発生する条件によって決まる倍率で時給を割り増しして、残業代を計算するというルールがあります。

例えば平日では、2時間以内の残業は時給を4/3倍(約134%)にして割増しし、2時間を超える場合は時給を5/3倍(約167%)にします。
平日以外の休息日や国定休日の場合は、割り増し度合が増えます。
この計算をしていない場合や計算を間違っている場合は労基法違反となります。
アルバイトと正社員でも計算方法が変わってきます¥。
正直かなり非常に複雑です。
ただ、非常のロジカルにできているので計算方法さえ理解してしまえば、労使間でもめることも少なくなります。
曖昧な知識で手を出すと労使間でトラブルとなり、余計な確執を生んでしまうこともあります。

法律で定められた以上の時間数の残業 

 

法律では、平日の通常業務時間数は8時間以内、1週間では40時間以内となっています。
これを超える場合は、残業として計算する必要があります。

原則1日の最大労働時間は12時間までとなっており、仮に通常業務が8時間の場合は、残業は最大4時間になります。
1ヶ月の残業合計時間数は46時間までとなっています。これを超える時間で残業することができません。

ただし、労使会議を行い双方の同意を得ることができれば、1ヶ月の残業時間を54時間以内かつ3ヶ月の残業時間を138時間以内(平均46時間以内)とすることができます。

労働者の出勤記録が不正確

 

労働者の出勤はどちらが一方的、作為的に記録したものは認められません。
例えば1ヶ月間毎日同じように09:00に出勤し、18:00に退勤しているものなどは、作為的であるとされ違反の対象となります。

労働者や上司がexcelで月末に作成し、しかも毎日まったく同じ時間の出勤退勤であるといったようなものは認められないのでご注意ください。

賃金の全額を労働者に直接支払わない

 

賃金は必ず全額を労働者に渡す必要があります。
(社会保険や所得税など双方の同意があれば許可されるものは除く。)
その他のものを給与から天引きすることは違反になります。

当たり前のような気もしますが、
例えば社内ルールによる罰金制度などを実行している場合は注意する必要があります。

よく見られるのは、遅刻したら5分ごとに50元などの罰金ルールです。

本来であれば遅刻は1分単位で、時給を元に計算された金額をマイナスする必要があります。
このように働いていない時間分を正確に計算して差し引くのは問題ないのですが、
それ以上に差し引いている場合は違法になります。

例えば時給180元の場合 1分の給与は3元となります。
従業員が遅刻したら30分単位で時給分をマイナスするとしていたり、
遅刻1分ごとに5元の罰金とするというような場合は注意が必要です。

罰則を設けるのは違反ではありません。
罰金を給与から天引きしていることが違反となります。

給与をいったん支払い、その後罰金を徴収するということであれば問題ありません。

LinkBizよりコメント
いかがだったでしょうか?
知らず知らずと違反違反しているという場合もあるかと思います。

労基法違反は初回は注意指導のみで、罰金は無しとなることが多いですが、2回目からはそうはいきません。
早め早めに対策を打つことをお薦めします。

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