固定残業代制度について
台湾で固定残業制度を取り入れたいという声をよく聞かれます。
LinkBizのクライアント様でも固定残業制度を取り入れている企業があり、
そのクライアントの実務代行の経験を踏まえて、固定残業制のメリットデメリットや
実施にあたっての注意すべき点をまとめました。
この記事の目的は、
固定残業制のメリットデメリットを整理する
実際に取り入れる時の計算方法や、実施に置いての注意事項をシェアする
の二点になります。
- 固定残業制度の可不可について
- 固定残業制度のメリットとデメリット
- 固定残業制度の導入が向いている業態
- 具体的な固定残業代の計算方法
1 固定残業制度の可不可
労働部に確認したところ、固定残業制の実施は労基法的に問題ないとのこと.
ただし、何時間残業しても残業代を固定にするということはなく、実際の残業時間を基に計算する残業代と、固定残業代を比較し、実際の残業時間による残業代より固定残業代が多くなっていれば可能とのこと.
従業員にとって不利となっていないことがポイントとのこと.
例)固定残業代を毎月定額の5,500元と設定している場合。
例 | 実際の残業時間 | 通常計算の残業代 | 固定残業代 | |
A | 20時間 | 5,000元 | 5,500元 | ⇒5,500元の支給となる |
B | 30時間 | 6,000元 | 5,500元 | ⇒5,500元の支給以外に追加で差額の500元を支給する必要がある |
Aのパターン:実際の残業時間が20時間で労基法に従って残業代を計算したところ5,000元であった。毎月の固定残業代は5,500元なので、従業員には5,500元が残業代として支払われる。
Bのパターン:実際の残業時間が30時間で労基法に従って残業代を計算したところ6,000元であった。毎月の固定残業代は5,500元なので、従業員には5,500元と追加の500元が残業代として支払われる。
2 固定残業制度のメリットとデメリット
メリット
- 人件費の安定性 従業員の残業代を正確に計画することが可能。
- 給与計算、主に残業代計算の工数を減らすことができる。
- モチベーションの向上 業務効率化を促すことができる。
- 適正な労働時間の促進 過度の残業を抑制することができる
- 支払い給与額面が増えるので、人材採用募集がしやすくなる。
デメリット
- 社会保険額の増加 固定残業代込みでの投保金額となる。
- 実際の残業時間分によりも残業代が増える。(残業がなくても支給するため)
3 固定残業制度の導入が向いている業態
飲食店、美容室、サロンなどの接客業。外回りの多い営業職。その他、日々残業が生じるような業種には向いている。
シフト確定時にわかっている残業ではなく、突発的な残業が多い業態に向いているが、逆に、毎日ほぼ残業が生じないような業態では不向き。提示出勤退勤のような業態。
4 具体的な固定残業代の計算方法
計算例1 労基違法では月間46時間までの残業が認められているので、46時間の残業を前提として固定残業代計算してみます。
額面給与(残業代込) | 35,000 | 40,000 | 50,000 | 55,000 | 60,000 |
基本給 | 27,876 | 31,858 | 39,823 | 43,805 | 47,788 |
固定残業費 | 7,124 | 8,142 | 10,177 | 11,195 | 12,212 |
残業時間上限 | 46 | 46 | 46 | 46 | 46 |
額面給与35,000元とすると1か月の残業時間に関わらず支給額は35,000元となります。
額面給与40,000元とすると1か月の残業時間に関わらず支給額は40,000元となります。
※残業時間が46時間を超えると違法なので、超えることはできません。
※仮に残業時間が0時間でも額面給与額の支給となります。
※社会保険への投保金額は額面給与以上とする必要があります。額面給与35,000元の場合投保金額は36,300元になります。
固定残業制度実施したい、もっと詳しく知りたいという方がいらっしゃいましたら是非LinkBizまでお問合せください。