台湾労務NEWS

POINT離職社員の引継ぎを全うしてもらうために給与を差し押さえたり、一方的に支払い方法を変更したり、罰金分を天引きするなどの行為は全て違法ですのでご注意ください。

離職する社員に引継ぎ業務の完了を強制するための罰金システム

台北市労働局が企業の就業規則を調査したところ、一部の企業では就業規則の中に

  • 従業員はすべての引き継ぎを規則に沿って行わなければならず、それができない場合は賃金の一部を差し引く
  • 引き継ぎが完了するまで給料は支払われない
  • 離職社員は会社まで現金で給与を取りに来ること

など独自の退社ルールを設定していることが判明したようです。

台北市労働局の見解

台北市労働局局長の陳興宇氏によると

労働基準法第22条および第23条に基づき、労働者の賃金は時間通りに直接全額支払われるべきです。
使用者が賃金を差し押さえたり、罰金を天引きしたり、勝手に賃金の支払い方法を変更した場合これらは法律違反となります。
同法第79条に基づき、2~100万元の罰金が科せられる可能性があります。

就業規則は、労働基準法およびその他の関連法規を遵守しなければならなりません。
雇用者は、従業員が引継ぎ手続きを完了していないことを理由に、賃金を差し引いしたり、賃金の支払いを遅らせたり、賃金の支払い方法を一方的に変更したりすることはできません。
これらの行為は明らかに違法であり、労働者の権利への影響はとても大きいと考えられます。

一方、雇用者と従業員の間の紛争を避けるために、従業員は、職務に関連のある合理的な引継ぎには協力する義務を負っています。

就業規則は、合理的かつ具体的で、法律に則ったものである必要があり、これを濫用して、法律に反するものは無効となります。
労働者が就業規則に疑問を持った場合には、雇用者はその内容を詳しく説明し、労使間の認識の違いから生じる紛争を回避しなければなりません。

とのことです。

以上台北市労働局の記事を一部翻訳

LinkBizからのコメント
私も居酒屋の店長時代に、スタッフが引継ぎなく離職してしまった経験がありますので、上記のようなルールを設定したくなる気持ちが非常に理解できます。
ただ、労基法上、給与の差し押さえや天引き、支払い方法の一方的な変更はできないので注意が必要です。
そういった双方の争いが起きないように普段からのコミュニケーションをしっかりとるべきというのが結論かとも思いますが、一つの方法として、例えば、双方の同意を書面で交わしたうえで支払い方法を変更する。また支払い前の給与から天引きするのではなく、給与を支払った後で罰金を回収する。
などの対応は可能と思われます。

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