台湾会社(法人)設立:台湾での会社(法人)設立の5つのステージ
台湾進出の際の会社(法人)設立から営業開始までの流れは大きく5つのステージがあります。
- ステージ1 事前準備 編
- ステージ2 銀行口座開設 編
- ステージ3 資本金送金&法人登記 編
- ステージ4 国税局面談&各種登録 編
- ステージ5 工作許可&居留証申請 編
台湾進出の際の会社(法人)形態(現地法人か支店か、または法人投資か個人投資か)によって各ステージでの作業が変わりますが、
この5つのステージをベースに台湾進出と法人設立を進めるという流れは変わりません。
台湾進出と会社(法人)設立のために用意する書類や作業は非常に多く複雑です。書類の不備があると台湾進出と会社(法人)設立スケジュールに大きく影響します。
ここでは台湾進出における会社(法人)設立全体を一息に把握するのではなく、5つのステージに分けて、その作業と用意する書類を紹介します。
一つ一つステージをクリアしていくことで確実に会社(法人)設立することができます。
また、台湾進出、会社(法人)の設立にあたって、下記3点は特に気になるところかと思います。
- いつ台湾に行く必要があるのか?
- どんな書類を用意する必要があるのか?
- ステージ1から5までどれくらい期間がかかるのか
① いつ台湾に行く必要があるのか?
台湾進出における会社(法人)設立の際には、台湾の責任者となる方が訪台する必要があります。そのタイミングはステージ2の口座開設。ステージ4の国税局面談の2回になります。ステージ2と4は日数的に1-3カ月ほど間があきますので、一度訪台してずっと台湾にいるか、二度の訪台に分けるかを決める必要があります。過去のクライアントは訪台を二度に分ける方が多いです。
② どんな書類を用意する必要があるのか?
台湾進出、会社(法人)設立のそれぞれのステージで用意する書類が異なります。事前にご用意いただくものとしては、
法人投資の場合は
- 出資する法人の履歴事項全部証明書(登記簿謄本)
- 定款
- 日本法人の代表者のパスポート
- 台湾に設立する法人の代表者のパスポート
- 台湾に設立する法人の代表者の経歴書
- 予備調査申請書(台湾法人の会社名、営業項目、代表者名が必要)
個人投資の場合は、出資者の身分証とマイナンバーが必要となります。
その他それぞれのステージで申請し取得する書類も必要になります。その点は、それぞれのステージ毎に詳細を紹介していきます。
③ステージ1から5までどれくらい期間がかかるのか
3~4カ月というのが目安ですが、政府機関の作業遅れ、書類の不備、ライセンス審査など様々な理由によって設立スケジュールが遅れます。
特に最近はマネーロンダリング防止の観点から各種政府機関の審査期間が長くかかる傾向にあります。
最短の3カ月で事業計画を組むのはではなく4か月とするのがお勧めです。
ではここから、日本法人が100%出資で台湾に進出し現地法人(台湾子会社)を設立する場合をサンプルとして見ていきましょう。
STEP1 事前準備編(必要期間:1週間ほど)
作業内容 | 場所 | 日数 | 作業者 | ||
1-1 | 初期設定 | 法人名、資本金額、営業項目、台湾の代表者を決定 | 日本 | 1日 | 日本法人担当者 |
1-2 | 予備申請 | 会社名と営業項目審査を受け、預査表を受け取る | 台湾 | 3日 | LinkBiz |
1-3 | 印鑑作成 | 会社印と代表者の印鑑を作成 | 台湾 | 1日 | LinkBiz |
STEP1で必要になる書類
- 日本法人の履歴事項全部証明書とその翻訳
- 日本法人の代表者の身分証(パスポートなど)
- 台湾法人の代表者の身分証(パスポートなど)
- 台湾法人の代表者となる方の経歴書
- 台湾に設立する法人の中国語名
- 台湾に設立する法人の営業項目
- 台湾に設立する法人の資本金額
ステージ1では、会社名や会社の代表者、そして営業項目などの基本設定を行います。
基本設定をもとに、法人名と営業項目の審査を受け、経済部より法人名、営業項目、代表者名が記された公文書【預査表】を受け取ります。その【預査表】に記載された法人名と代表者名の印鑑を作成します。台湾では法人名の印鑑と代表者名の印鑑二つをセットで使用します。このタイミングではまだ責任者が台湾に訪台する必要はありません。
うまく設立するためのHINT
登記用の印鑑と銀行用の印鑑を分けて管理する
登記用は契約書などへの押印用。銀行用の印鑑は支払い時や銀行カウンターで使用するなど、使い方を分けることで、将来的に印鑑がいろいろな人の手に渡り管理が複雑になることを防ぐことができます。
会社名と営業項目を事前に用意しておく
このステージ1で会社(法人)設立スケジュールが遅れる要因の最も多いものは、社名と営業項目がなかなか決まらないという場合です。社名はすでに登記されている法人と同名のものは使用できません。また漢字一文字が不可、アルファベットは使えないなどの台湾独自のルールもあります。LinkBizでは1度の申請で同時に複数個を申請することをお勧めしています。そうすれば第一希望の名前を使用できない場合に自動的に第二希望の社名となります。
例
第一希望 山田有限公司
第二希望 山田顧問有限公司
第三希望 山田国際顧問有限公司
法人名に使えるのは漢字だけですので、通常下記の三パターンで法人名を設定します。詳細は⇒こちらの記事が参考になると思います。
パターン1 日本語の法人名をそのまま中国語の法人名とする。例)日本法人名 吉野家⇒ 台湾法人名 吉野家
パターン2 法人名の音にあった漢字を選ぶ。例)日本法人名 マクドナルド⇒ 台湾法人名 麥當勞
パターン3 法人のイメージやサービス内容から漢字を選ぶ 例)コンサルタント⇒顧問
法人名の決め方にはその他のルールもあります。
NG1 既に使われている名前
NG2 国名は位置によっては使用できない。原則一番前。
NG3 一文字の名前
NG4 不適切な名前
LinkBizでは台湾人ネイティブによる社名の提案も行っております。設定した法人名が台湾人からみて変な名前にならないように、漢字の持つ意味、発音を台湾人ネイティブが検討したうえで提案しております。お気軽にご相談ください。
営業項目について、台湾では経済部が指定した営業項目リストから選択する選択式です。
どんな営業項目があるかは⇒こちらから見ることができます。
営業項目に関する詳細は⇒こちらをご参考ください。
預査表が手に入り印鑑ができると、設立する会社名義で賃貸契約できるようになりますので、この辺りから登記住所、オフィスを探し始めます。オフィスの探し方についてはこちらをご参考ください。
STEP2 銀行口座開設編(必要期間:2~3週間)
作業内容 | 場所 | 日数 | 作業者 | ||
2-1 | 書類認証 | 日本法人の登記資料、会計士への委任書、役員の派遣書などを認証 | 日本 | 1日 | 日本法人担当者 |
2-2 | 外国人投資委員会への申請 | 外国人が台湾国内への投資できるようになる許可書を申請 | 台湾 | 15日 | LinkBiz |
2-3 | 代表者のID番号を取得 | 台湾の代表者の台湾のID番号を取得 | 台湾 | 1日 | 台湾代表者 & LinkBiz |
2-4 | 銀行予備口座開設 | 法人名義で資本金送金用の仮銀行口座を開設 | 台湾 | 1日 | 台湾代表者 & LinkBiz |
このステージで必要になる書類は、
- 日本法人の履歴事項全部証明書(書類認証済みのもの)
- 日本法人の株主情報(株主に法人がある場合はその法人の株主情報)
- 日本法人の代表者の身分証(パスポートなど)
- 台湾法人の代表者の身分証(パスポートなど)とマイナンバー
- 預査表(ステージ1で取得したもの)
- 会計士への委任状(書類認証済みのもの)
となります。
銀行口座開設には、台湾で連絡の取れる住所が必要になります。(登記住所とは違っていても構いません。)
書類認証は日本の駐日経済文化代表処にて行います。台湾の外交の窓口である駐日経済文化代表処は、東京にあり、横浜、大阪、福岡、那覇、札幌には分処があります。
日本法人の登記住所によって、どの代表処に行くのかが決まります。
管轄エリア | |
台北駐日経済文化代表処(東京) | 東京都、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、新潟県、山形県、山梨県、長野県 |
台北駐大阪経済文化弁事処 | 京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、德島県、香川県、愛媛県、高知県、富山県、石川県、福井県、岐阜県、愛知県、三重県、滋賀県 |
台北駐日経済文化代表処横浜分処 | 神奈川県、静岡県 |
台北駐大阪経済文化弁事処福岡分処 | 福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿兒島県、山口県 |
台北駐日経済文化代表処札幌分処 | 北海道 |
台北駐日経済文化代表処那覇分処 | 沖縄県 |
うまく口座開設するためのHINT
口座開設が厳しくない銀行を選ぶ
銀行口座の開設にかかる日数は銀行によって変わります。LinkBizが提携している銀行は1日で口座が作れる銀行です。
また通常登記住所の近くでないと口座開設ができませんが、LinkBizが提携している銀行であれば、登記が台湾のどこであっても台北市の銀行で口座を作ることができます。
STEP3 資本金送金&会社登記編(必要期間:6~8週間)
作業内容 | 場所 | 日数 | 作業者 | ||
3-1 | 資本金送金 | 日本法人口座から円建てで資本金を海外送金 | 日本 | 1日 | 日本法人担当者 |
3-2 | 資本金着金手続き | 台湾の銀行にて資本金を外貨から台湾ドルに両替し口座に入金 | 台湾 | 1日 | LinkBiz |
3-3 | 登記住所決定 | 登記住所物件の賃貸契約を締結 | 台湾 | 1日 | 台湾代表者 OR LinkBiz |
3-4 | 投資金額の査定 | 資本金が着金した際の銀行資料を外国人投資委員会に提出し本審査を申請 | 台湾 | 1-5日 | LinkBiz |
3-5 | 会社登記申請 | 市政府に会社登記を申請 | 台湾 | 5-10日 | LinkBiz |
このステージで必要になる書類は
- 外国人投資委員会からの公文書(ステージ2で取得したもの)
- 予査表(ステージ1で取得したもの)
- 登記住所の賃貸契約書
- 登記住所の納税証明書
- 登記住所大家さんの同意書
となります。
資本金の送金時に、預査表、外国人投資委員会の公文書が必要になります。
資本金の送金についてはこちらをご参考ください。
注意する点としては、必ず外貨建て(日本円やアメリカドル)で送金することです。
台湾の口座に着金する際に両替したという書類が必要になります。
間違えて台湾ドル建てで送金してしまうと、着金することができません。
また送金元の口座名義が必ず出資者の名義となっている必要があります。
名義が異なると着金することができません。
市政府の登記が完了すると、会社名義でさまざまな契約締結が可能になります。
従業員を採用して雇用契約を締結したり、各業者と業務提携を結ぶことができるようになります。
電話番号や携帯なども会社名義で契約でき、人材採用も開始できるなど、台湾進出の具体的な業務が動き始めます。
うまく海外送金するためのHINT
送金先の英語の口座情報を確認する
海外送金のためには、送金先の情報をすべて英語で用意する必要があります。銀行名、ブランチ名、銀行住所、法人住所、法人名、を英語で用意しておきましょう。また台湾ですでに工作許可を持っており、過去に台湾国内の所得がある方は、台湾国内送金で資本金を送金する方法もあります。これにより海外送金の手間と送金手数料を省くことができます。詳細はLinkBizまでお問合せください。
STEP4 国税局面談&各種登録編(必要期間:2~3週間)
作業内容 | 場所 | 日数 | 作業者 | ||
4-1 | 社会保険局への登録 | 社会保険局に登録 | 台湾 | 3日 | LinkBiz |
4-2 | 営業人登記申請 | 国税局に営業項目と税籍番号を申請 | 台湾 | 5日 | LinkBiz |
4-3 | 国税局面談 | 所轄の国税局で面談し発票購入許可書を取得 | 台湾 | 1日 | 台湾代表者 & LinkBiz |
4-4 | 銀行口座名義修正 | 仮銀行口座名義を正式名称に変更 | 台湾 | 1日 | 台湾代表者 & LinkBiz |
4-5 | 法人英語名予備申請 | 会社の英語名称を申請 | 台湾 | 3日 | LinkBiz |
4-6 | 国際貿易資格登録 | 国際貿易に登録 | 台湾 | 1日 | LinkBiz |
このステージで必要になる書類は
- 会社登記書の公文書(ステージ3で取得したもの)
- 税務を担当する人または会計記帳事務所の連絡先
なとなります。
国税局の面談はヒアリング形式での質疑応答です。
口頭質問は業務内容、オフィス場所、従業員人数、記帳担当業者などです。(LinkBizが同行し通訳を担当します。)
国際貿易資格は営業項目に国際貿易業がいれることで申請できます。日本からの商品や物資の輸入の際に台湾法人が輸入業者となるためには、必ず登録が必要です。
STEP5 工作許可と居留証申請編(4~6週間)
作業内容 | 場所 | 日数 | 作業者 | ||
5-1 | 工作許可の申請 | 駐在員の工作許可を申請します | 台湾 | 10日 | LinkBiz |
5-2 | 停留ビザの申請 | 駐在員の停留ビザを申請します | 台湾 | 10日 | LinkBiz |
5-3 | 居留証の申請 | 駐在員の居留書を申請します | 台湾 | 10日 | LinkBiz |
5-4 | 社会保険への加入 | 労働保険、健康保険に加入します。 | 台湾 | 3日 | LinkBiz |
このステージで必要になる書類は
- 駐在員となる方の身分証明書
- 駐在員となる方の台湾での居住所証明書
- 駐在員となる方の雇用契約書、職歴一覧、証明書用写真
となります。
工作許可を取得すると台湾で働くことができるようになります。
工作許可を取得すると居留証(長期滞在ビザ)を取得することができます。
居留証があると、個人名義の銀行口座を開設することができるようになります。
労働保険は役員の場合は任意で加入し、従業員の場合は必須です。
健康保険は代表者の場合は台湾滞在期間が連続6か月を超えないと加入できません。連続で半年滞在が条件になるので、国外への出張頻度が高い方は加入ができません。ご注意ください。
以上で台湾進出における会社(法人)設立の完了となります。日本やアジアの各国と比較すると、時間と手間が掛かると思われた方が多いかと思います。
台湾は他国に比べて、外国人100%投資が可能であったり、非居住者でも代表権をもてる、銀行口座開設が容易など、設立のハードルは低いですが、時間が掛かるというのが現状です。
どうしても急ぎで設立したい、またはすぐにでも営業を開始したいという場合は、休眠中の会社や清算を検討している会社を買い取るというのも一つの方法です。そういったケースもご紹介可能です。
LinkBizでは豊富な設立経験により、お客様に適した設立方法や、詳細なスケジュールを作成することができます。台湾進出全般、会社(法人)設立について、ご質問がありましたら、お問い合わせよりご連絡ください。