台湾労務:経理人は労基法にて保護される範囲内なのか?

台湾労務NEWS

POINT
経理人には委任経理人と雇用経理人があり、委任経理人は労働者でないとみなされるので、労基法の範囲外。雇用経理人は労働者とみなされ、労基法の範囲内となります。

F社事例にみる経理人と労基法の関係


F社元董事長顧問であるT氏は、2019年4月10日に翌日から出勤しなくてもいい旨を口頭で伝えられました。
が、98万台湾ドルの解雇手当を支払わなかったことを不服として、元董事長を提訴しました。

北部裁判所は、T氏の訴えには根拠がないと判断し、先日T氏に敗訴の判決を下しました。この件は控訴が可能な状態です。

T氏の主張は、2019年4月10日、元董事長から口頭で「翌日から出勤しなくてもよい」と伝えられ、給与、労働保険、健康保険は同年30日まで計算されたものの、労働基準法に基づく解雇手当は支払われていないというものでした。

T氏は、解雇を通告された当日に口頭にてこれは労働契約違反であることをF社に伝えており、もらっていた月給18万元をベースに98万元の解雇手当を支払うように要求したと主張した。

F社は、T氏が董事長の顧問に任命された後、F社は彼を「最高執行責任者」と呼び、会社の運営全般に責任を負っており、その職務は委任關係にある経理人の性質を持っていたと主張しました。
そのためF社とT氏の関係は雇用関係ではないとみなすことができ、労基法上の解雇手当を請求することはできないと主張しました。
またF社はT氏には、退職金として100万元以上を渡していると説明しました。

また、F社は、事業上の秘密を知ることができたT氏が、F社事業と関連する事業内容のC有限公司を設立したことは、経理人として明らかな忠実義務違反であると主張している。

北部裁判所は、T氏は労働契約に違反したことを口頭でF社に伝えたと主張したものの、F社はそれを否定し、T氏もそれを証明する証拠を提出しなかったと指摘。
そのため、労働契約であろうと委任契約に関わらず4月30日に契約終了することで双方合意していると判断され、T氏は敗訴となった。

自由時報より一部翻訳

LinkBizよりコメント
労働局によると、委任経理人なのか雇用経理人なのかは、実際の契約や職務状態によって判断されるとのことですが、ただし法人登記書の中に経理人として名前が登記されている場合は、委任経理人とみなされることが多いそうです。また、登記していない場合でも契約書などがあればそれを元に委任経理人としてみなされることがあるとのことでした。

日本人のビザを取得するために経理人として登記するケースがよくありますが、その際に委任経理人としてなのか雇用経理人としてなののかを明確にしておくことをお薦めします。

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