台湾労務:解雇時に、会社が会社都合の解雇証明書(非自願離職証明)を発行してくれない時の対処方法

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POINT台湾では失業保険を受け取るためには、自己都合の離職ではない証明書(非自願離職証明書)を会社に発行してもらう必要があります。もしも突然の倒産などで、その証明書を発行してもらうことができなかった場合はどうすればいいのでしょうか?

よく見られるトラブル例

労働局によると、
社長が会社を倒産させ、従業員を解雇したにもかわらず、会社都合の離職である証明書(非自願離職証明書)の発行を会社が拒否し、従業員が失業手当を申請できなかったり、本来受けられるはずの職業訓練にも参加できないケースが数多くあるそうです。

台北市労働局長によると、会社の倒産により、未払い給与などが生じている場合は、従業員は調停を申請することができます。
そして、もし会社が会社都合の解雇証明書(非自願離職証明書)を発行していない場合は労働局に申請して発行してもらうことができます

「非自願離職」の定義
「非自願離職」の定義は、
雇用保険法第11条に基づき、被保険者が保険に加入している法人の閉鎖、解散、破産により職を失うこと、
または、
労働基準法第11条、第13条但書、第14条、第20条に規定されたいずれかの事情により職を失うこと、
であり、これらは、どちらも、会社都合の離職(非自願離職)とみなされます。

解雇の理由のトップ3

2021年1月から8月までの労働局の解雇通知を統計的に分析したところ、解雇の理由のトップ3は、

  1. 会社の損失または事業の縮小
  2. 従業員がその仕事に対する能力がない
  3. 事業内容の変更

だそうです。

これらは全て会社都合の離職(非自願離職)であり、従業員は失業手当の申請や職業訓練への参加が可能になります。
そのためには、従業員は会社に会社都合の解雇証明書(非自願離職証明書)を出してもらう必要があります。
会社は就業服務法第33条に基づき、台北市労働局および台北市就業服務所に従業員を解雇したことを通知をする必要があります。

しかしながら現実的には。。。

しかしながら現実的には。。。
次のような2つのケースが良くあります。

  1. 離職の理由が会社と従業員で相違があり、会社が解雇証明書(非自願離職証明書)を発行してくれない
  2. 予告なく会社が閉鎖し、社長は所在不明で離職証明書を作ってもらえない。

1.離職の理由が会社と従業員で相違があり、会社が解雇証明書(非自願離職証明書)を発行してくれない

例えば、従業員は会社から解雇されたと考えているが、会社は従業員が自らの意思で退職したと考えているような場合。
従業員は解雇手当てと解雇証明書を求めるが、会社は解雇手当の支払いも解雇証明書の発行を拒否するというような紛争が生じてしまいます。

この場合、
従業員は、労務提供地区の労働局に労働調停を申請した後、調停受理文書を提出することで、紛争の結果が確定していなくても、就業服務所で失業手当を申請することができます。
従業員が裁判所に直接訴訟を起こした場合は、訴訟受付書類を提出して失業手当を申請することもできます。

2.予告なく会社が閉鎖し、社長は所在不明で離職証明書を作ってもらえない。

予告なしの会社閉鎖、廃業、社長の所在不明などの理由で従業員が離職した場合、離職証明書をすぐに入手することはできません。
このような場合、解雇証明書(非自願離職証明書)は、労務提供地区の管轄労働当局に電話で申請することができます。台北市でしたら(1999内線7038)への電話で申請することができます。

以上台北市労働局の記事より一部翻訳

LinkBizからのコメント
労基法で会社は従業員から解雇証明書を求められたら発行しなければならないと定められています。
しかし台湾では会社都合解雇の場合のみ、従業員は失業保険(給与の60%を最長半年間)と解雇手当て(勤務年数×0.5ヶ月分の給与分)を受け取ることができ、
自己都合の場合は、失業保険も解雇手当てもないので離職後、収入は0になってしまいます。
このように会社都合と自己都合では、会社と従業員の利益が相反するため、非常にトラブルが起きやすいと言えます。

 

会社が会社都合にも関わらず、それを認めず自己都合で処理してしまうというのはよくないですが、
従業員も自己都合でやめたいが、あえて会社都合になるように、解雇されるまで不真面目に働き続けるというケースもあります。

もちろん解雇しないで済むのが一番いいのですが、やむを得ない場合には、それぞれのメリットデメリットをよく把握した上で、トラブルにならないように注意深く進める必要があります。

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