台湾労務: 従業員が2日半勤務後失踪 給与未払いで会社は2万元の罰金

 

会社の訴えは棄却

ある女性は2020年に桃園の食品会社に就職し、7月に2日半勤務した後、休暇を申請したまま行方不明になり、7月8日に無断欠席を理由に解雇されました。しかし女性は2日半分の給与がもらえなかったことが不満に思い、桃園市政府に苦情を申し立てた。市政府側は女性の所在が不明であっても、送金による支払いは可能であり、会社はそれを怠ったため、労働基準法に違反し、2万元の罰金が科される予定です。

女性は2020年6月中旬に入社し、7月は2日半のみ勤務しましたが、さまざまな休暇を使い、7月8日に行方不明になりました。上司は激怒し「1日欠勤すると3日分の給与を引く」と言い、解雇しました。

女性は不満に思い、「2日半働いたから3000元以上の給与を受け取れなければおかしい」と強調し、桃園市政府に苦情を申し立てました。雇用主は無断欠勤を理由に解雇することはできても、給与の支払いは拒否することはできない。としており、市政府はこの案件を受け職員を派遣して労働検査を実施した。

会社側の説明としては、女性は7月1日、2日は普通に勤務し、7月3日は事假(用事による休暇申請)、7月4日は(定休日)、7月5日(定休日)、7月6日は半日出勤し、午後は病假(病気休暇)となり、7月7日は事假を使い、7月8日は無断欠席し、女性はまだ退社手続きのため会社に来ていないため、給与はまだしはらわれていません。また「1日無断欠勤すると、3日分の給与を引く」とLINEを送っており、したがって7月の給与は0元です。

桃園市政府側は、会社と女性との間には、1日の欠勤で3日分の給与を引くという合意はなく、退社手続きをして本人が給与を会社に取りに来るという合意もなかったと指摘しました。また会社の担当者は、労働者が給料日に休暇を取る場合、銀行送金で支払うと述べ、女性は送金口座を提供していると述べました。労働基準法第22條第2項及第23條第1項の「勞雇雙方另有約定(労使間の合意)」、「除當事人有特別約定(当事者間の特別な合意)」に該当します。

また、「另有約定(その他の規定)」或いは「特別約定」は、賃金の支払期日、回数、方法または、労働者に有利な協定に限られるべきであり、雇用主が労働者と賃金控除の根拠や金額について恣意的に合意したり、賃金を受けるための閾値を恣意的に設定できるというと、そうではありません。

他にも、勞基法第36條第1項「勞工每7日中應有2日之休息(労働者は7日のうち2日間は休息日とし、),其中一日為例假,一日為休息日(1日を通常の休日とし、1日を休息日とする)」と規定しており、同法第39條「第36條所定之例假、休息日、(第36条の休日、休息日)第37條所定之休假及第38條所定之特別休假,工資應由雇主照給(37条に規定する休日並びに第38条に規定する特別な休日の賃金は、雇用主が支払う)」と規定しています。市政府は、労働者は休息日や定休日に働く義務はないが、雇用主は労働者に賃金を支払うべきであると考えている。

そのため、市政府は会社側が女性の給与を恣意的に控除し、故意に給与を支払わなかった事が労働基準法に違反すると認定し、罰則の基準法に従って2万元の罰金を科しました。また、会社名と責任者名を公表し、早急な改善を要求しました。

しかし会社側は、不服として抗議しました。会社側は女性に退社するように何度も通告し、手続きが完了すれば、給与を支払おうとしましたが、女性が故意に詳細を確認しなかったため、退社の手続きが出来ず、給与が支払えなかったのは女性側の責任と述べ、会社は罰せられるべきではないと主張しました。不定期でしか出勤せず、必要な休暇の申請もしなければ、着任から1ヶ月も経たないうちに退職したので、仕事の配置やスタッフの派遣に支障をきたしました。

一審の台北高等行政法院は、市政府が検査に行ったとき、会社のスタッフは給与支払日が定休日の場合、代わりに送金で支払うと説明していました。会社は女性の送金口座番号を知っており、6月分の給与も送金によって支払われたと説明している。また、欠勤1日につき3日分の給与を控除するという会社の決定は、事前に女性と合意したものではなく、労働基準法に則っていないため、会社の訴えは棄却されました。

会社側は、この決定を不服として上告しましたが、二審の最高裁判所は会社の上告請求は第一審で提起されたものであり、同法違反を主張するものではないと判断しました。そのため裁判所は控訴を棄却しました。

以上の記事を自由時報から一部を翻訳しました。

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