台湾労務:結婚を報告したら解雇された従業員。労働局に訴えた結果…

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POINT台湾では、結婚すると8日間の有給を取得することができます。これは労働基準法で守られた従業員の権利です。では、会社に結婚を報告した後に、突然解雇されてしまったというような場合はどのように判断されるのでしょうか?実例をもとにその経緯を紹介します。

結婚式の1週間前に解雇

機器メーカーのA社でアフターサービスのアシスタントをしているBさんは、今年の4月ごろに、上司に8月に結婚することを伝えていました。
その後、会社側はなんと7月末をもって、人員削減を理由に彼女を解雇。「彼女の仕事量はごくわずかであり、適切な仕事がない」というのが理由でした。
結婚式の1週間前に解雇され、有給の結婚休暇はなくなり、ハネムーンも楽しめず、失望した彼女は、会社に対して結婚差別の訴えを起こします。

労働局の調査

労働局の調査により、
・A社のアフターサービス部門は継続して稼働している
・Bさんの職務について、現在人材募集が行われている
・Bさんの仕事量は会社が決めていた
・管理職からは、Bさんは経験豊富で非常によく働いており、部門の中で彼女1人だけが解雇となるのは不合理であるという証言があった
ということが発覚。

結果、
新北市雇用差別評価委員会は、会社側の各主張を退け、会社が一方的に雇用契約を解除したのは、Bさんの結婚が間近に迫っていることに関連しており、これは「結婚差別」に該当、就業服務法第5条第1項に違反すると判断しました。

就業服務法第5条1項では、会社は求職者や従業員に対して下記を理由とした差別を行ってはならないと規定しています。

就業服務法第5条1項
人種、階級、言語、思想、宗教、所属政党、出身地、出生地、性別、性的指向、年齢、婚姻関係、容姿、五感、身体・精神の障害、星座、血液型、過去の労働組合加入歴

過去に実在した、独身であることを批判したり、妊娠を禁止するような条項は、現行の労働法では実行することはできません。
会社は、人材募集時から給与査定・社内評価・昇進・退職・解雇にいたるまで、就業服務法第5条第1項に定める18種類の事柄を理由に従業員に対して不利益な扱いをすることはできません。
従業員の権利・利益を侵害した会社に対しては、最高で150万元の罰金が科せられます。

以上自由時報の記事より一部翻訳

LinkBizからのコメント
従業員の休暇については、勞工請假規則に定められており、その中に「結婚する従業員には、8日間の有給結婚休暇が与えられる」とあります。取得のタイミングについては、婚姻日の前10日目から3ヶ月以内に取得するとあります。 ただし、雇用主の同意があれば、1年以内と取得時期を変更することができます。一度にまとめて8日間という制限はなくばらばらに取得することも可能です。結婚すると有休を支給しなければならいので、結婚を予定していることを理由に求職者を不採用にしたり、従業員を解雇したりすると違法と判断される可能性があります。ご注意ください。

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